
令和7年度第1回教養教育講座
「英語力を活かし、自らの可能性を広げるヒント〜離島から世界へチャレンジした事例〜」を開催
2025年6月17日(火)、LocalX株式会社代表取締役の岩切将一氏をお迎えし、令和7年度第1回教養教育講座「英語力を活かし、自らの可能性を広げるヒント〜離島から世界へチャレンジした事例〜」を開催しました。本学と山梨県立大学の学生・教職員ら44名が参加しました。
岩切氏は鹿児島県の喜界島の出身。鹿児島市からフェリーで12時間もかかる美しい離島で高校時代までを過ごし、その後上京されました。大学卒業後は都内の大手商社での勤務を経て、地方の未来の成長を牽引する人材や企業の支援を目指して、2023年にLocalX株式会社を立ち上げました。そのエネルギッシュな実行力と実績に参加者はすっかり魅了されましたが、岩切氏によれば決して順風満帆な人生ではなく、数々の挫折も経験してきたとのこと。そしてそれぞれの段階において常に真剣に向きあってきたのが「英語」だったそうです。
何のために英語を学んでいるのか? 受験のためなのか、資格取得のためなのか、それとも就職のためなのか。私たちは絶えず英語の必要性に駆り立てられているがゆえに、ときに学ぶ意義を見失いがちです。岩切氏も商社に入職後、海外出張へ行くためにTOEICのスコアを求められ、必死に勉強して基準をクリアしたものの、実際のビジネスの現場では歯が立たず、悔しい思いをしたそうです。昨今ではインターネットを用いた自動翻訳や生成AIなど、デジタルツールが私たちを大いに助けてくれますが、対面で行われる商談においては、依然として一定の英話力が欠かせないとのことでした。TOEICのスコアを目指す勉強はあくまで成長のための手段に過ぎず、それ自体が目的と化してはいけない・・・この主張は、参加した学生の心にも間違いなく響いたことでしょう。
商社時代の経験から、顧客に信頼される人物には共通して、英語力以外にもある能力が備わっているとのことでした。それは、相手の気持ちを考えて、その相手の役に立つ行動を率先してできる力や、一緒に仕事がしたいと思わせる魅力など様々ですが、どれも一朝一夕で身につけられるものではありません。そのため、学生時代から幅広く学び、他者に負けない自分だけの得意分野を見つけ、積極的に深めて欲しいとのお話でした。
同じく商社時代に、岩切氏は海外にあるビジネススクールの受験に備えて、英会話力の向上のために800時間を費やしたそうです。1日24時間は誰にとっても平等なので、費やした時間に対する成果の最大化を常に意識して、効率的に、そして徹底的に学ぶことが重要とのこと。そしてたとえ期待通りの結果に届かなくても、SNS上の意見などに右往左往することなく、七転び八起きをモットーに、自分の信念を貫くべきだとおっしゃっていました。そして最後に、この信念を貫くためには、食事や睡眠、そして適度な運動などを通して、心身の健康を保つことも忘れてはいけませんと付言されました。講演後には参加した学生から大いに質問が寄せられ、閉会後にも岩切氏のもとに学生が集まっていたことが印象的でした。
本学では、2025年度4月の入学生を対象に全学共通教育改革が実施されました。外国語科目群ではTOEIC受験・e-ラーニング・英会話セッションからなる「実用英語1」を新設し、実践的な英語能力の向上を目指しています。このような経緯もあり、英語を用いてビジネスの最前線で活躍されている岩切氏にご講演をいただきました。
お話を拝聴して、英語能力の向上と併せて、心身ともに健康な人生を送るためのスキルを身につけるライフスキル科目群や、現代の複雑な問題に対処するための知識を培う学術科目群、そして、多面的な思考力を育成し主体的な学習意識をもつことを目指す創発PBL科目群など、今回の改革で刷新された教養教育が、どれも学生の今後のキャリア形成にとって大切なものであることを再確認することになりました。