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十二の遍歴の物語

おすすめの本 (渡辺 暁)

タイトル
十二の遍歴の物語
著者
ガルシア=マルケス
出版社
新潮社
出版年
1994/12
その他
(旦啓介訳:『予告された殺人の記録』とカップリング)

ガルシア=マルケスの最も有名な作品は『百年の孤独』ですが、私がおすすめするのはこちらの短編集です。最初に「なぜ十二なのか、なぜ短編なのか、なぜ遍歴なのか」と題された序文がついていて、そこには「自分の葬式の夢を見た」ことから、この短編集を書くことを思いついたという、本当か嘘かわからない、しかしガルシア=マルケスに言われると本当かな、と思えてくるエピソードが紹介され、さらにこの本ができるまでの過程が記されています。

ガルシア=マルケスの作品のほとんどはラテンアメリカを舞台にしていますが、この本に出てくるのはいずれも、ヨーロッパに住むラテンアメリカ・カリブ海地域出身の人々の物語です。実を言うと、私もこの本に収められている短編すべてが好き、というわけではありません。読んでいると背筋が寒くなって来るような(逆にいうと多分ホラー好きにはたまらない)話もあって、正直私はそういうのは苦手です。しかし他の作品(私のお気に入りは「大統領閣下、よい旅を」「聖女」「夢を貸します」「マリア・ドス・プラゼーレス」の4点、そして最初に紹介した序文です)はとても好きで、何より読んでいると心が温かくなってくる気がします。

この本を入り口に、学生の皆さんが百年の孤独をはじめとするガルシア=マルケスの長編の世界に入っていってくれること、そして、いつかこれらの作品の原文を梨大でのスペイン語での授業で使う日が来ることを、願っています。

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