メニュを開く MENU
山梨大学教育大改革2025_詳しくはこちら

ミツバチのささやき/エル・スール

おすすめの作品 (渡辺 暁)

タイトル
ミツバチのささやき/エル・スール
監督
ビクトル・エリセ
地域
ヨーロッパ
その他
[公開日]1973/1983

ともにスペインの映画監督、ビクトル・エリセの作品で、スペイン語の授業でよく学生さんに見せています。どちらも主人公は女の子で、表向きはその子たちの日常と成長を描いているのですが、そこに見え隠れするのがスペイン内戦(1936-39)の傷跡と、それを抱えて生きていこうとする(あるいはそれに耐えきれずに死んでしまう)大人たちの姿です。

1939年に終結した内戦のあと、スペインでは勝利したフランコ将軍を長とする独裁体制が1975年まで続きました。市民の政治参加の権利は制限され、言論の自由もありませんでした。「ミツバチのささやき」が発表された1973年は、そんな「権威主義」と呼ばれた時代の末期でした。当然まだ検閲は残っていましたから、表だって政府の批判をすることはできません。でも、様々なシーンをよくよく見てみると、そこにdouble meaningが隠されていることがわかります。そんなことを考えながら映画を見る経験は、今までの皆さんはあまりしてこなかったと思います。そんな意味でも、映画の新しい見方を教えてくれる映画だと思います。

それから10年たって、民主化したスペインで撮られた「エル・スール」の方では、もう少し直接的に内戦のことが語られています。スペイン北部で暮らす主人公エストレーヤのお父さんは、南(El Sur)の出身ですが、全然そんな話をしたこともなければ、ましてや帰省することもありません。それがなぜなのかは少しずつ明らかになっていくのですが、スペイン北部の美しい風景、初聖体拝領というキリスト教の儀式の様子、南からやってくる祖母そして父親を育てた女性などの個性的な登場人物、それを見ているだけでも、こんなところに行ってみたい、という気持ちがかき立てられる映画です。主人公の女の子が、いつかまだ見ぬ「エル・スール」に行きたいと願ったように。

ページの
先頭に戻る