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2022/10/11開催
第2回教養教育センター講座「SDGsを大衆のアヘンにしないために-マルクスと脱成長の視点から」

令和4年度第2回教養教育センター講座
「SDGsを大衆のアヘンにしないために-マルクスと脱成長の視点から」を開催

 

 2022年10月11日(火)、東京大学大学院総合文化研究科 斎藤幸平准教授をお迎えし、令和4年度山梨大学・山梨県立大学合同特別講演会第2回教養教育センター講座を開催しました。講師の斎藤先生には「SDGsを大衆のアヘンにしないために-マルクスと脱成長の視点から」というタイトルでご講演いただきました。

 斎藤先生はお話の冒頭で、ペットボトルやレジ袋の消費を減らすことで自己満足したり、SDGsの標語を掲げた企業の耳触りの良い宣伝文句に踊らされることで、私たちが直面している地球規模の危機に目を瞑ってはならない、と強く主張されておられました。二酸化炭素の排出量ひとつをとっても、先進国と途上国、同じ国の中でも一部の豊かな人たちとそうではない人たち、都会と地方などで格差が生じており、その格差は行き過ぎた資本主義社会の中でさらに拡大の一途を辿っていることが、種々のデータによって示されました。そのような状況において、日本は再エネ・EV・グリーン成長を基調とする世界の潮流、いわゆる「緑の資本主義」に乗り遅れてしまっているが、この「緑の資本主義」さえも、経済成長と人口増大によるエネルギー消費量の増大を吸収することは全くできず、それどころか、レアアースをめぐる帝国的な資源獲得競争や、生態系のさらなる破壊に繋がってしまっていることが、様々な実例をもってわかりやすく語られました。

 経済格差と環境危機を解決するためには、従来とは全く別の道を模索する「グレート・リセット」が必要であり、真に持続可能な社会を構築する唯一の方法は、過剰さを見直して脱成長型の社会を希求することである、と斎藤先生は訴えておられました。そのためには、ファストフードやファストファッションに囲まれた今まで通りの生活を維持することを辞め、身の回りの必ずしも必要のないモノやサービス、または労働時間を減らすことなどを通して、私たちの「豊かさ」の定義そのものを変える必要があると結論づけられました。

 SDGs達成を目標とした取り組みを推進している本学の学生と教職員にとって関心の高いテーマであり、ご講演後には非常に多くのご意見やご質問が寄せられました。斎藤先生には質疑応答の時間を延長していただき、それぞれの視点から議論を深めることができました。

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