
令和2年度第2回教養教育センター講座
「疫病・エピソード・リテラシー-西洋史における疫病情報と行動統制-」を開催
2020年11月11日(水)、山梨大学大学院 総合研究部教育学域教授 皆川卓教授をお迎えし、本年度第2回教養教育センター講座を開催しました。今回は、第1回講座に引き続く「コロナ禍に学ぶ教養 第2弾」ということで西洋史がご専門の皆川氏に講座を依頼し、「疫病・エピソード・リテラシー-西洋史における疫病情報と行動統制-」と題するご講演をいただきました。学生・教職員、外部の参加者を含め、総勢102名の盛況となりました。
講演内容は、コロナ禍に生きる現代の私たちにとって大変興味深いもので、まさに「疫病の世界史」と題するにふさわしい歴史記述の醍醐味を感じさせる迫力のあるものでした。とりわけ歴史的な出来事が、その時代を生きる人々の証言によって「構成」されていくこと、さらにそうしたエピソードが記録者の政治的思惑とともに「捏造」されていく様子が、先生ご自身の研究成果とともに説得力をもって語られました。
参加学生からは以下のような感想が寄せられました。熱心に耳を傾けていた様子が伝わってくるとともに、全員が当事者であることもあってか、当時の人々を自らのこととして理解しようとする態度が多く見られました。
・歴史にはほとんど興味がなかったのですが、科学的に資料を分析していて、歴史学も面白いなと感じた。
・実際に作られた人物像の具体例があり、歴史が作られたものだということがわかりやすく(中略)面白い内容でした。
・16世紀のイタリアの激しい勢力争いの中で、殉職者として立てられた二人の貴族の背景が、捏造されたり神格化されたりして、非常に気の毒だった。
・当時の記録がほとんど残っておらず、(中略)奇妙な出来事の記録のほうが多いということについて当時の人々の心情が気になりました。
・疫病は記録者に選択されたエピソードだけが記憶として残りやすいため、正確な情報を把握する情報リテラシーを発揮することが大切。現在は昔に比べメディアの数が多いため、情報を正確に選択できるようになりたい。
・過去の情報を調べることなく信じてしまうのは危険なことだとわかりました。